避難者・被災者への支援

(2)負傷者への対応2

心肺蘇生法の手順

 従業員や給油所に避難している人、休憩している人の中に負傷者がいる場合は、応急手当を行います。緊急に医師の診療を要する場合は、病院へ運ぶ、または救急車を呼ぶなど、病院への迅速な搬送を行います。
 負傷者の意識が無い場合は、急いで救急車を呼びましょう。


1.意識を調べる  負傷者の耳元で呼びかけながら、軽く肩をたたく。
意識がない →  2.救急車を呼ぶ  救急車の呼び方
3.気道を確保する  空気が鼻や口から肺に達するまでの通路を開く。

<気道の確保>

頭部後屈あご先挙上法
片手を額に当て、もう一方の手の人差指と中指の2本をあご先(おとがい部)に当て、これを持ち上げ、気道を確保する。
≪重要ポイント≫
  • 指で下あごの柔らかい部分を圧迫しない。
  • 頭を無理に後ろに反らせない。

下顎挙上法
首のけがが疑われる場合は、両手で下あごのみを引き上げる。

4.呼吸を調べる  負傷者の口・鼻に顔を近づけ、吐く息を感じる。胸や腹部の上下する動きを見る。
呼吸がない
5.人工呼吸を行う  口対口人工呼吸法により、肺に空気を送り込む。

 気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差指で負傷者の鼻をつまむ。
 口を大きくあけて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息をゆっくりと2回吹き込む。

≪重要ポイント≫
  • ゆっくりと約2秒かけて2回吹き込む。
  • 吹き込む量は、傷病者の胸が軽く膨らむ程度[500ml~800ml(10ml/体重1kg)]とする。
  • 吹き込んだときにスムーズに吹き込みできができなかった場合は、もう一度首を戻して、気道確保をやり直し、息を吹き込む。
  • どうしても口対口人工呼吸をすることに抵抗がある場合は、ハンカチを傷病者の口に置いて行ってもかまわない。また、携帯できる簡易型の人口呼吸用マスク(一方向弁付呼気吹き込み用具)を持っていると便利である。
  • もし、傷病者の皮膚や口の周りに傷がある場合には、口対口人工呼吸を行わないで心臓マッサージのみを行ってもよい。

意識はないが十分な呼吸をしているときは、回復体位(側臥位)をとらせる。

<回復体位(側臥位)のとらせ方>

  • 傷病者を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保し、両肘を曲げ上側の膝を約90度曲げ、後ろに倒れないようにする体位である。
  • 吐いた物を口の中から取り除きやすい。
  • 窒息防止に有効である。

6.循環のサインを調べる  心臓の拍動の状態を調べる。
循環のサインがない
7.心臓マッサージを行う  胸骨圧迫心臓マッサージにより、酸素の含まれた血液を循環させる。

<心臓マッサージ>
  • 他方の手をその手の上に重ねる(両手の指を交互に組んでもよい)。
  • 肘をまっすぐに伸ばして体重をかけ、胸を3.5~5cm圧迫する。
  • 1分間に100回の速さで15回圧迫する。


8.心臓マッサージと人工呼吸を組み合わせて続ける

  • 15回の心臓マッサージと、2回の人工呼吸のサイクル(15:2)を繰り返す。
  • 人工呼吸は1回の吹き込み時間に2秒かけて、5秒に1回の速さで行う。
  • 最初に、心臓マッサージ15回と人工呼吸2回のサイクルを繰り返し、2~3分ごとに、循環のサインの有無を10秒以内に調べる。
≪重要ポイント≫
  • 心臓マッサージ15回と人工呼吸2回のサイクルを、救急隊員が到着するまで続ける。
  • もし、救助者が2人以上いる場合は、1人が119番通報をし、もう1人が心肺蘇生法を行う。そして心肺蘇生法を実施している人が疲れた場合には、他の人が代わって心肺蘇生法を続ける。
  • もし途中で循環のサインが見られた場合には、呼吸が不十分であれば人工呼吸のみを続け、十分な呼吸も見られるならば、気道を確保しながら回復体位にする。

大出血時の止血法

 一般に体内の血液の20%が急速に失われると出血性ショックという思い状態になり、30%を失えば生命に危険を及ぼすといわれています。
 したがって、出血量が多いほど、止血手当を迅速に行う必要があります。
 大出血の止血法法としては、出血部位を直接圧迫する直接圧迫止血法が基本です。この方法で止血できない大量の動脈性出血の場合には、最終的な手段として止血帯法があります。

1.直接圧迫止血法

  • 出血部位を圧迫し、包帯をする。
  • きれいなガーゼやハンカチなどを傷口に当て、手で圧迫する。
  • 大きな血管からの出血の場合で片手で圧迫しても止血しないときは、両手で体重を乗せながら圧迫止血をする。
≪重要ポイント≫
  • 止血の手当を行うときは、感染防止のため血液に直接触れないように注意する。
  • ビニール・ゴム手袋の利用。それらがなければ、ビニールの買い物袋などを利用する方法もある。

1.止血帯法
【止血帯で止血できる部位】
(手足の太い血管損傷による出血で、直接圧迫止血法では、止血が困難な場合に行う。)
腕の場合 足の場合

けがなどの応急手当

1.骨折に対する応急手当
【骨折しているところを固定する】
  • 協力者がいれば、骨折しているところを支えてもらう。
  • 傷病者が支えることができれば、自ら支えてもらう。
  • 副木を当てる。
  • 骨折部を三角巾などで固定する。
≪重要ポイント≫
  • 副木は、骨折部の上下の関節が固定できる長さのものを準備する。
  • 固定するときは、傷病者に知らせてから固定する。
  • ショックに注意する。

2.けがに対する応急手当
【包帯法】
  • 包帯は、きずの保護と細菌の侵入を防ぐために行う。
  • できるだけ清潔なものを用いる。
  • きずを十分に覆うことのできる大きさのものを用いる。
  • 出血があるときは、十分に厚くしたガーゼ等を用いる。
  • きず口が開いてる場合などは、原則として滅菌されたガーゼを使用し、脱脂綿や不潔なものを用いてはならない。
  • 滅菌ガーゼを扱うときは、清潔に扱う。
  • きず口が土砂などで汚れているときなどは、きれいな水で洗い流すなど清潔に扱う。
  • 滅菌された材料は有効期限に注意する。
≪重要ポイント≫
  • 包帯は巻くと血行障害を起こすので、注意して巻く。
  • 包帯の結び目は、きず口の上を避けるようにする。

【三角巾】
  • 体のどの部分にも使用できる。
  • きずの大きさにとらわれず使用できる。
  • きず口にはガーゼ等を当ててから、三角巾を用いるようにする。

3.熱傷(やけど)に対する応急手当
【比較的軽い熱傷】
(1度の熱傷、狭い面積の2度の熱傷)のとき
  • できるだけ早く、きれいな冷水で15分以上痛みが無くなるまで冷やす。
  • 十分冷やしてからきれいなガーゼを当て、三角巾や包帯などをする。

≪重要ポイント≫
  • 靴下など衣類を着ている場合は、衣類ごと冷やす。
  • 1度で広い範囲の熱傷の場合は、冷やすときに体が冷えすぎないように注意する。
  • 水疱を破らないように注意する。
  • 薬品を塗ってはならない。

【重症熱傷のとき】
  • 広い範囲の熱傷の場合は、きれいなシーツ等で体を包む。
  • 3度の狭い範囲の熱傷の場合は、きれいなガーゼやタオル等で被覆する。

≪重要ポイント≫
  • 重症の熱傷の場合は、冷やすことに時間を費やさずに、できるだけ早く専門医の処置を受ける必要がある。

【化学薬品による熱傷のとき】
  • 衣服や靴などを早く取り除く。
  • 体についた薬品を水道等で20分以上洗い流す。
  • 目に入ってしまった場合は、水道等で20分以上洗い流す。
  • 熱傷したところを、きれいなガーゼやタオル等で被覆する。
  • 薬品を洗い流す場合は、ブラシ等でこすってはならない。
  • 化学薬品に限らず目の熱傷の場合は、絶対に目をこすってはならない。
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